2012年05月19日

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76065

写真はピンズマルシェのピンバッジ、ピレネー山脈の熊。
アドレスはこちら↓
http://masson.ne.jp?pins=76065








昨日ディディエは朝の5時半に起きました。お腹が空いて・・・

妊婦の私ならわかるんですよ。
今、胃が圧迫されてちょっとずつしか食べられませんし、
呼吸も楽ではないので、眠りが浅くてすぐに目が覚めてしまいます。

でもなんでディディエが・・・?

よくわかりませんが、前日の夕食は、
私が同じ時間にお腹が空かなかったので、
ディディエは自分で用意して、あんまりしっかり食べなかったのかもしれません。

もしくは、妊婦の私に一体化しすぎて、ちょっとしか食べられなかったのでしょうか?


それはともかく、今日はまた昔のできごとを回想したいと思います。
前回は私がディディエに会ったときのことを話しましたから、
今日はディディエが私に出会った日のできごとです。


その日の数日前から、ディディエはピレネー山脈を散策中でした。
「散策」といっても高い山々ですから、
何時間も足場の悪いところを登ったり降りたりするので、
それほどのん気なものではありませんが・・・

その日は雨に降られてしまい、しかも雷がゴロゴロ唸っていて、
他に人気(ひとけ)もなく、大きな木も生えないような標高のところで、
いつまでもうろちょろしていたら避雷針になってしまいます。

危ないですし、雨の中歩くのにも嫌気が差して、
ディディエは下山することに決めました。

ピレネー山脈はフランスとスペインの国境地帯なので、
ディディエの降りてきた車の通る道も、国境を越える道になっていました。

そんな辺鄙なところを公共交通機関が走っているわけもないので、
どこでもいいから町までヒッチハイクすることにし、
一番はじめに捕まったのがスペインへ向かう車でした。

そして登山中にたまたま借りて読んだ雑誌で、
あのニューヨークにあるグッケンハイム美術館がビルバオにもオープンしたという記事を目にしたのを思い出し、
なんとなくビルバオで降ろしてもらったのです。

その判断の謬り、車から降り立ったその一歩が、大きな間違いへと向かって踏み出した第一歩となりました。

bil2
(写真・ビルバオのグッケンハイム美術館)


大してたくさんホテルのないところに、有名美術館がオープンして、
観光客がちょっと増えてしまっただけで、全然、空き室がなくなったのでしょう。
生乾きの服の入った重いリュックを背負ったまま、
ディディエは町を右往左往することになってしまいまいした。

そして私に出会いました。

見た目でわかったのはアジア人ということだけで、
黒いジャケットにベージュのチノパンですし、
性別すらもわからなかったそうです。
ちょっと会話をして、声のトーンで途中からわかったと。

情報交換をしたあとは、二人は全く正反対の方向へ向かったとディディエ自身も認めています。それなのに私が急にまた現れてびっくりしたと。
あれは尋常ではない速さで走らないと無理で、あのときの私は素早かった、その後の私には全く見当たらない俊敏さだったというのです。

ちょっと待ってくださいよ、論理を発展させて、よく考えてくださいよと。
私は今も昔ものろいんです。急に早くなったりしていません。
あの時はディディエが道を間違ったせいですぐ近くに来てただけなのと、何度も言って地図も書いて見せました。

でもディディエは決して道に迷ったとは認めません。
あの時、私はすべての力を出し切って走ったのであって、
それで追いつかれて捕まってしまったのだと主張するのです。

全く・・・

意見の食い違いはともかく、その後、ディディエは別に付いてくる必要もないのに後をくっついてきて、スペイン語がディディエは話せないので、私がホテルで部屋を尋ねる係を引き受けることになり、すっかり面倒を見てあげたんです・・・

といっても、私の重たいリュックをディディエが持ってくれたので、
歩き回るのは楽になったんですけどね。


基本的なスペイン語会話は私の方がずっとスムーズで、
言いたいことも言えたのですが、
実は単語はディディエの方がよく理解しています。
発音が違うだけでフランス語に似た単語も多いので、なんとなくわかるんですね。

だからディディエに頼んで訳してもらったときもありました。
私一人なら絶対に気が付かなかった通りすがりの町の人たちの言葉です。
「売春婦」とか「難民は国へ帰れ」とか。
若い男の子はもちろん、おばあちゃんからも言われました。
そんな挨拶はスペイン語学校では習いませんし、
咄嗟には何のことだか頭に入って来ません。

とはいえ意味がわかってもちっとも嬉しくない言葉ばっかりですが…

日本人の旅好きの友だち達から、
スペイン人はフレンドリーで、過ごしやすいとってもいい国だと聞いていたのに、イメージが違うではないかと…

幸いにもディディエから親切にしてもらっていたので、大して悲しむこともなく聞き流しましたが。

でもこの仕打ちは、私がスペイン滞在を早々に切り上げてフランスに戻り、
しかもその後、目指していたスペインではなく、結局フランスへ留学することになったのに、多少影響したかもしれません。


(01:47)

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